顎関節症(がくかんせつしょう)専門外来

自分で「顎関節症なんですけど・・・」と分かってくる患者さんっているんですか?

「あごが痛いくて、親知らずが痛いのか?頭痛なのか?よく分からない、歯医者さんで診てもらうでいいんですか?」と来院される方が多いですね。

顎関節症って治ります?

実際は、付き合っていかないとダメなものですね。
顎関節は、ただの関節なんです。
足を伸ばした時にポキッとなること、あるじゃないですか。
それが顎関節症のことになると途端に、「マウスピース入れましょう」とか「かぶせ物を治しましょう」とか「ちょっと歯を削ってみましょう」とするから治らないんです。
音が鳴るのは消えませんよ。

肩とか膝の骨がポキポキいうのと同じなんですね。私は左肩を挙げるとポキポキいいます。

治療のゴールを「音を消すこと」に求めがちなんです。
カクカク鳴りだしたから、カクカクを消してくれ、なんです。
僕らは逆に、カクカクを消すのは治療のゴールじゃないんですよ、と伝えます。
だから、顎関節症の患者さんと「カクカク鳴っていてもスムースに開け閉めできることがゴール」と共有することが一番大事なことです。
そうすると患者さんは「あ、音が鳴っていてもいいんだ」となって、リハビリを頑張ってくれます。
「音が鳴ってもいい」と歯医者に言われているので心配にもならない。
頑張って口を開け始めてくれると、鳴ったままの人もいるし、気にならなくなりましたと感じる方もいるし、様々ですね。

ちなみに、診察台で頭を後ろに倒した時、咬筋(こうきん)や側頭筋(そくきん:横の筋肉)、触って「痛い気持ちいい」の先の「痛い」までいくと、筋肉の症状が出ているので要注意ですね。

とにかく、気になる症状があったらどのタイミングでもいいので相談してくださいね。

顎関節症(がくかんせつしょう)専門外来

口を大きく開けた時、噛みしめる時などに顎が痛い、ズレる感じがする、音が鳴るなどの症状を感じたことはありませんか?
それは、顎関節症かもしれません。
口腔外科の知識・経験を有する歯医者さんに相談しましょう。

顎関節症は、大規模な疫学調査の結果、進行する疾患ではなく時間の経過とともに(数日から数週間で)症状が軽くなる疾患であることが明らかになっています。
しかしながら、実際の医療現場では、この疾患の症状改善や根治治療を目的に十分な説明なく咬み合わせを修正する治療など、症状を悪化させるリスクのある治療が行われていることがあります。
また歯の修復・補綴・矯正治療などをきっかけとして、顎関節症の症状が生じることがあります。(顎関節症ガイドラインから抜粋)

顎関節症には「症例分類」が大事です!

下記の分類により「診断」を行った上で、「治療方針を立案」し「治療」していくことが重要です。

顎関節症Ⅰ型:咀嚼筋障害(咀嚼筋障害を主徴候としたもの)
顎関節症Ⅱ型:関節包・靭帯障害(円板後部組織・関節包・靭帯の慢性外傷性病変を主徴候としたもの)
顎関節症Ⅲ型:関節円板障害(関節円板の異常を主徴候としたもの)

  • a:復位をともなう関節円板転位
  • b:復位をともなわない関節円板転位

顎関節症Ⅳ型:変形性関節症(退行性病変を主徴候としたもの)
顎関節症Ⅴ型:Ⅰ~Ⅳ型に該当しないもの

オアシス歯科の顎関節症治療の特徴

1.正確な診査診断

パノラマX線写真、CT検査による画像検査は、骨形態を評価する点では有用です。
さらに、開口量、開閉口時の下顎頭の動き、左右への偏位、関節雑音(カク、ジャリジャリなど)の有無などをもとに初診時での診断を下します。

2.ガイドラインに沿った治療方針

多くの歯科医院が、噛み合わせを調整したり、マウスピースを入れたりして、経過観察のみということが多いようです。
が、実際のガイドラインでは、顎関節症分類に応じて治療方針が決まっています。
例えば、顎関節症Ⅰ型には、上顎型スタビライゼーションスプリントが有効となっています。顎関節症Ⅲ型には、開口訓練と呼ばれるリハビリがメインの治療方針となります。
診査診断をしっかり行なった上で、理論的に治療方針を立てていくので分かりやすいと考えています。

3.アフターフォロー

治療が始まったら、必ず2~4週間後に経過観察を行います。
治療方法がリハビリの場合、患者さんのモチベーションを維持するのに、定期的なチェックが有効であるというエビデンスもあります。
症状が治らない場合は、適切な専門機関へ紹介することも可能です。

先生ワンポイントアドバイス

その1
顎関節が痛い患者さんでも正確な診断後、必要があればリハビリ『開口訓練』を行います。
ピッチャーがヒジを痛めた後、どうしますか?
2軍でリハビリして、1軍に復帰しますよね?
顎関節も人間の関節なので、治し方は一緒です。

その2
顎関節症だと思っていたら、内側の隙に広がっている炎症だった!
顎関節症だと思っていたら、腫瘍だった!
口内炎だと思っていたら、腫瘍だった!
必ず2点観測で経過観察する必要があり、治らなければ、早めに専門機関へ紹介します。

よくある質問Q&A

Q.顎関節症だから歯を削って調整します。それって有効ですか?

A.いきなり歯を削る噛み合わせの調整を受けるのは、出来るだけ避けましょう。ガイドラインでは、顎関節症患者において、症状改善を目的とした咬合調整は行わないことを推奨するとなっています。一度削ると元に戻すことが困難で、重篤な症状のきっかけになることがあるとされています。

Q.顎の筋肉が痛いとき、スタビライゼーションスプリントは有効ですか?

A.咀嚼筋痛を主訴とする顎関節症患者において、適応症・治療目的・治療による利点・欠点を十分説明を受けた上で、上顎型スタビライゼーションスプリント治療を行っても良いです。このスプリントは、上の歯全体をおおう薄い透明なプラスチックのもので、全体で咬合接触するように調整した状態で使用します。

Q.顎関節症で口が開かないとき、開口訓練は有効ですか?

A.開口障害を主訴とする関節円板転位に起因すると考えられる顎関節症患者において、関節円板の位置などの病態説明を十分に行ったうえで、患者本人が徒手的に行う開口訓練を行うことを提案します。
日常生活上で顎関節部の痛みが一時的に増大することがありますが、数日休んでから再開することで、開口訓練を継続することが可能となります。

※上記Q&Aは、日本顎関節学会ガイドラインから抜粋し改変。