歯根端(しこんたん)切除術専門外来
先生、何ですか?「しこんたんせつじょじゅつ」って?シャコタンは知ってますが・・。
(笑)なるほど、残念ながら違います。
歯の根っこの端っこ、で「歯根端」。
それを切って除くから「切除」。
その術式なので「術」。
全部足して、「歯根端切除術」です!
術式って・・・なんか、ドクターXの大門未知子のような・・・BGMが流れてきそうな。使う道具も「メッツェン」みたいな・・・。
(笑)お母さん、テレビ見過ぎです。
ってか、僕は「救命救急24時」派でしたけどね。
江口洋介のですね!ちなみに歯根端切除ってそんなしょっちゅうあるのですか?
結構ありますよ、月に2~3例。
歯の根っこあたりの歯ぐきをペロンとめくって治療する感じです。
根の治療で救えなかった歯とか、保険外の高いかぶせ物が入っているから外したくない場合に行います。
そんな裏技あるなんて、みんな知らないですよね。
知らない、知らない・・・聞くとみんなギョッとします、「歯ぐきをめくって歯の先削る?!」みたいな。
だけど全然ラクなんで・・・親知らず抜くよりラクです。
「15分くらいで終わるから、絶対頑張った方がいいですよ」と後押ししてやってもらうと、
やった後にだいたい「やってよかった」と。
そうなんですか??(まだ疑心暗鬼)
例えば、10万円の被せ物を外さなくていい、もしかした再度腫れるかもしれないけど・・・ということは先に言っておきます。
上手くいけば良いと思っていただけます。
とにかく分かりづらい話なので、歯の根の治療で苦労しているという方は一度直接お話ししましょう。
大きなむし歯などにより根管治療(こんかんちりょう:歯の根の治療)を行った後、数年経過してから歯の根の先に「細菌感染(根尖病巣:こんせんびょうそう)」が生じてしまう事があります。
従来の根管治療の成功率は、文献的に86~96%と言われており(J.Endod1990,1983 )100%ではありません。
歯の根は人それぞれ違う上に、とても複雑な形をしています。
そのため、満足のいく根管治療が不可能な症例で根尖病巣が生じてしまった場合、外科的歯内療法「歯根端切除術」が用いられることがあります。
臨床的成功の定義は、自発痛、咬合痛などの症状がない/腫脹(しゅちょう:腫れ)・瘻孔(ろうこう:炎症などによって生じた異常な管状の穴)・感染兆候がない/歯として正常な機能を継続できるということです。
さらに、逆根管充填(ぎゃくこんかんじゅてん:歯の根っこ側から歯の根に詰め物をすること)を併用すると、成功率が高くなることが報告されています(J Endod 2010)。
口腔外科医により適応症例が広がります。
一般的には前歯部のみですが、条件が整えば、奥歯でも行うことが出来ます。
教えて先生!歯根端切除術は、どんな時にやるの?
- 根尖病巣が大きいため、再根管治療だけで治療するのが難しそう
- 太い土台(コア)が入っているため、除去する際に残っている歯根を傷付けてしまいそう
- 保険外(自費)の被せ物で治療されており、被せ物を除去したくない
- 根管治療を複数回行っているが、治癒しない難治症例だけど、何とかして残す治療にトライしたい
主に下記2つのパターンがあります。
- 根管治療を行ってから歯根端切除を行う
- 歯根端切除単独で行う
オアシス歯科の「歯根端切除術」の特徴2つ
1. 正確な診断
手術前にデンタルX線写真・パノラマX線写真、CT検査などを元に診断を行います。
その後、治療方針を相談し、決定します。
根尖病巣の3次元的な広がり、鼻腔(びくう:鼻の内部)・上顎洞(じょうがくどう:下記図参照)・下顎管(かがくかん:下記図参照)などといった周囲組織との距離などを把握します。
治療の難易度、侵襲の程度を正確に患者さんにお伝えし、お考え頂き、納得してから治療を開始致します。
2. 低侵襲(ていしんしゅう)で的確な手技(しゅぎ:手を使う技術)
院長は、東京大学医学部附属病院、東京医科歯科大学歯学部附属病院口腔外科で口腔外科に必要な知識・手技を習得し、日本口腔外科学会認定医の資格を取得しております。可能な限り低侵襲(ていしんしゅう:歯肉を切開する範囲、骨を削る量をなるべく少なくする)、あらゆるリスクに最大限配慮した的確、迅速な処置を心がけております。
歯根端切除術の流れ
1. 画像診断により治療方針立案
2. インフォームドコンセント、同意書取得
3. 血圧測定・術前抗菌薬内服
4. 表面麻酔、局所麻酔
5. 歯根端切除
6. 止血確認・治療後の注意事項説明
術後経過
経過日数 | 主な症状 |
---|---|
抜歯当日 | 出血は、30~60分ほどでほぼ止まります。糸で縫ってあるところに刺激を与えないように、唇・頬などを引っ張らず、あまりうがいをせず、舌でいじらずにすごします。抜歯後3~4時間で徐々に麻酔が切れてきて、痛みが出現し始めます。痛み止めを内服し対応します。抗菌薬が処方されていれば、用法通り内服します。 |
1日目 | 出血はほとんど止まっていて、うがいをすると少し血が混じる程度。 痛みのピークを迎えることが多く、痛み止め薬にて自制内(じせいない:我慢できる範囲)でコントロール可能。 |
2日目 | 手術部位の周囲歯肉の腫れがピークを迎え、一時的に口が開きにくくなることがあります。 |
3日目~ | 出血・痛みは徐々に減っていき、腫れはピークを過ぎます。 |
7日目 | 出血・痛み・腫れはほとんど認められなくなり、経過観察・抜糸を行います。 |
7日目~1ヶ月 | 傷口が一時的に硬くなることがあります。瘢痕と言います。 |
先生ポイント~お口の中にもドレーン?
口腔内で細菌感染による膿瘍(のうよう:膿が溜まっている状態)が出来た場合
『切開して、排膿』
が必要になります。
必要に応じて、ドレーン留置を行い、排膿路を確保します。
これが大切なんですよね。
よくある質問Q&A
Q. 手術は大変ですか?痛いですか?
A. 手術部位にしっかり麻酔が奏功してから手術を行うため、痛みがある状態で治療が行われる心配はありません。
回転する器具で骨・歯根を削るステップがありますが、数分で済むので頑張りましょう。
手術時間は、1箇所であれば30分前後で完了する事が多いです。
Q. 完治しますか?
A. 治療のゴール(目標)は、臨床的な症状が無くなり、噛んだ時に痛みが無くなる事です。
成功率は、文献によって約50%~90%と幅が広い報告となっております。
相手は、細菌感染なので、数年後に再燃(再発)してしまうことがあり、予測は困難です。
治療前に詳細に説明してから同意を得て、開始します。
治療後は、適切な経過観察を行い、必要に応じてX線写真を撮影します。
Q. 保険は適応されますか?
A. 基本的には、全て保険適応内で治療が可能です。
例外の場合は、治療前にご説明します。