オアシス歯科の院内感染対策・衛生管理について

「歯医者さんって、コロナが流行っている間は行っちゃまずいんじゃないかしら?」
そう思って受診を控えている方もいます。
確かに心配かと存じます。

2023年に開業したオアシス歯科は、そもそもが「感染対策強化バージョン」です。

そもそも感染対策って何をすればいいの?

院内の感染予防には「感染の3因子」を取り除く下記の対策が大事です。

1.病原体の除去

歯科医院では、一般家庭で行われるような菌やウイルスの数を減らす「除菌」ではなく、次亜塩素酸ナトリウムや消毒用アルコールで菌やウイルスを無毒化する「消毒」が徹底されています。
また、口腔内に使用する器具に対してはオートクレーブ(※高圧蒸気滅菌器)などを用いた「滅菌」も徹底されています。
さらに、口腔外バキュームを設置し、診療室内で発生するエアロゾルなどの浮遊物を吸引します。

2.感染経路の遮断

標準予防策の徹底として、標準予防策(スタンダードプリコーション:standard precautions)という対策を取ります。
内容は、すべての患者のすべての湿性生体物質(血液、唾液、体液、分泌物、嘔吐物、排泄物、創傷皮膚、粘膜など)は、感染性があるものとして取り扱わなければならないという考えを徹底し、普段の診療から常に感染のリスクがあるものとして対応します。
基本的具体的には、手袋、ゴーグル、フェイスシールドを装着し、処置内容によってガウンを装着することがあります。

3.宿主の抵抗力増強

宿主(しゅくしゅ)とは人自身、つまり当院に関わる人です。
お口は、食べ物の入り口です。
口腔ケアを継続的に行うことで免疫力低下を防ぐことが分かってきています。
患者さんやスタッフの抵抗力・免疫力増強を可能にするには、健康管理そのものが、重要となります。感染対策です。
診療前に体調や味覚、嗅覚の異常についての問診や、体温チェックを行っています。

オアシス歯科ならではの感染対策

  1. 全診察室個室
  2. 患者様とスタッフの動線が交わらない設計
  3. 1階の全個室に口腔外バキューム設置

感染予防のため「患者さんのいる空間」と「働いているスタッフのいる空間」を全室個室や患者さんとスタッフ動線の交わらない設計にして、なるべく分けました。
患者さん目線で見たときに、プライバシー保持も目的ですが、周囲をスタッフが行き来しないことでければ落ち着いた静かな空間を提供でき、気持ちを安らかに待てるかなと思います。

一般的なワンフロアの歯医者さんだと、隣のユニット(診療台)との距離が近いため、いろんなところで水が飛んで散らばっていたり、治療している後ろでスタッフが感染物を持って行ったり来たりしていることがあります。さらに、その合間を縫って患者さんがユニットへ通されていきます。
このほうが、スタッフも楽だと思うので、患者さん、スタッフ、感染対策の三方よしですね。

論より証拠~当院の口腔外バキュームがありますよ!設計図

衛生管理~歯科医院での当たり前編

洗って、乾かしてパックに入れてオートクレーブかけて、個包装でやってます。

歯医者さんは、口の中の歯を治療します。
「口を開けての治療で、感染しやすくないかしら?」
コロナ禍をきっかけに、歯医者さんの感染対策について関心を持っていただけるようになりました。
歯医者さんが以前から「当たり前」に行っていた感染対策についてご紹介します。

1. ハイクラスクラスB歯科器具用の滅菌器(最高クラス滅菌機)・タービン専用の滅菌器での器具の滅菌(オートクレーブ※)

2. 患者様ごとの治療器具交換

3. ディスポ―ザブル用品(使い捨て:紙コップ、エプロン、手袋など)を多用

4. ドアノブの消毒

ドアノブをはじめ、良く触れる部分に関して適宜消毒をしております。

5. 換気の励行

患者様へのお願い

1. 手指の消毒

入り口及びユニット各所にて消毒いただきます。

2. 検温の実施

医院入口にて、カメラの前にお立ちいただき体温を非接触で自動測定します。
職員も毎朝検温を実施しております。

3. キャッシュレス決済

キャッシュレスでの支払いは利便性向上はもちろん、お金のやり取りをしなくてよいので感染対策にもなります。

豆知識コーナー

Q. どうして歯医者さんの道具は、水色の紙の袋に包まれているの?

A. あの紙とビニールにパックした後、「オートクレーブ」(※)という高圧高熱滅菌機で「滅菌」します。
滅菌後も、使われるまでの間も無菌でなくてはなりません。
そのため包装して内部と外界を微生物的に隔離します。
前出のクラスBの滅菌機に、機器類をオートクレーブした(紙とビニールに包まれている状態にした)滅菌バッグを入れ、滅菌します。
滅菌バッグの紙面には滅菌材(蒸気や酸化エチレンガスなど)は浸透させるが、微生物は透過させない程度の貫通孔があります。
この隙間を利用して内部を殺菌します。

参考:クインテッセンス出版株式会社「歯科医院の感染管理 常識非常識」

Q. 「滅菌」は「殺菌」「除菌」とは違うの?

A. 似ている言葉ですが、内容は下記のように全然違います。

滅菌:細菌やウイルスの完全に死滅させ、除去する
殺菌:病原性を持った菌やウイルスをある程度減らす
除菌:細菌数を減らす

Q. どうしてアルコール消毒するの?

A. こんな興味深い話があります。
“手を洗うと発症率が下がるという大発見
18世紀の出産では、分娩時における産褥熱(さんじょくねつ)によって10人に1人以上が死亡するという深刻な状況でしたが、産褥熱は予防不可能な病気とされてきました。
そんななか、1847年に、ハンガリー人で産科医のイグナッツ・ゼンメルワイスは、術前の手洗い、すなわち手指衛生を行うことで産褥熱の発症率が激減することを証明し、「医療従事者は手指衛生を徹底してから次の治療に臨むべきだ」と主張しました。
しかし、細菌感染の概念がないばかりか、病原菌の存在すら知られていない当時、それが受け入れられることはありませんでした。医師らは、「神聖な医師の手が汚れるはずはない」と主張し、また毎回手を洗うことなど面倒だと反論したのです。

医師であり作家でもあるルイフェルディナン・セリーヌが「感染予防の天才であった」とゼンメルワイスを称賛したのは、彼の死後60年も経ってからでした。今日、ゼンメルワイスは「病院衛生と消毒の現代的理論の父」または「院内感染予防のパイオニア」と称されています。

出典:院内感染の90%は手指が原因 歯科医療従事者の正しい手指衛生