保育士 小田 インタビュー
「保育士さんがいる歯医者さんというけど、どれくらいお願いして大丈夫なのかしら?」
「自分の治療中に子どもを見てくれる保育士さんって、どんな人なのかしら?」
そんなパパママの不安を解消すべく、オアシス歯科の保育士、小田さんにいろいろ聞いてみました!
話が盛り上がり、インタビュアーだけでなくカメラマンまで話に参加するインタビューとなりました。
さあ、どんな話だったのでしょうか?!(Q&Aはコチラ)
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※お子さんのお預かりは、予約制です。(電話のみ)
目次
1保育士、且つ、おもちゃコンサルタントです
小田さんは保育士さん、且つ「おもちゃコンサルタント」だそうですが、どんな資格ですか?
おもちゃコンサルタントは、お子さんの成長に合わせてどんなおもちゃがあっているかをアドバイスできる資格です。
もともと保育士で、保育園や子育て支援センターで働いていました。
支援センターにいる時、親御さんからも「これくらいの時期はどんなおもちゃがいいですか?」と聞かれる中でもうちょっと勉強したいなと思いまして、資格を取りました。
初めての子の子育ては、すべて手探りじゃないですか?
初心者マークのお母さんはおもちゃだけでなくて、子どもとどう遊んだらいいのか?など育児に対しても心配がいっぱいです。
育児に関して、チラッと相談しても大丈夫ですか?
大丈夫です~。
支援センターは母子で通所されているので育児相談がメインでしたし、自分の子育てで自分が経験したことも踏まえてお話しできます。
当院では、お子さんのお預かりがメインになるかと思ったのですが、意外と育児相談が多い・・・専門機関に問い合わせるほどではない、ちょっとしたことを話して下さるお母さんが多いですね。
0歳の旅行や里帰りで飛行機に乗るが大丈夫か?という相談もありますね。
自分も子どもを赤ちゃんの時に乗せた経験があり、CAさんがすごく助けてくれたんです。
気圧で赤ちゃんは泣いちゃうことが多いので、おしゃぶりや母乳をあげたりします。
保育士であり、お母さんなのですね!
保育士さんなのに、どうして歯医者さんで勤めようと思ったんですか?
自分の娘が小さい頃、歯科検診に連れていったときに娘を検診していただきながら「あれ?あたしは診てもらえないな?」と思ったんですね。
子どもは診てもらえるのに、自分の歯のメンテナンスはできないんだなと・・・。
土曜日にやっている歯医者さんは午前中だけ診療が多いし、そうするとなかなか都合がつかない中、オアシス歯科の求人を見た時に「これは親御さんのお役に立てるんじゃないかな」と思ったんです。
それと、学生時代に友達が卒論で「病棟保育士」の役割について書いていて、その話を聞いた時に大きく心を揺さぶられた経験があります。
保育士は医療には直接関係ない仕事ですが、病棟保育士がいることで病院に痛くないことをする人がいる、楽しいことをする人がいるとお子さんが思える・・・
お子さんにとって「遊び」は食事と同じくらい大切な事なんです、命に直結するくらい。
それ今、初めて聞きました。(インタビュアーは大学生と高校生の母)
遊びを充実させることで、治療に前向きになれ、生きる希望が湧いてくるのです。
病棟保育士を雇うまで余裕のある病院は少ないんですが、小児病棟では甘えられて遊ばせてくれる存在ということを聞いて、その時は「うわー!すごい仕事だな」と。
今、こちらで働かせていただいて「歯医者への足が遠のいていた」とか「歯医者さん怖かった」というお子さんが、ルンルンして来院して「次はいつ?」と言って帰っていく・・・本当にやりがいがあって、嬉しいんです。
歯医者さんでは楽しい思いして、痛い思いをしないで通ってほしいという院長の願いもあります。
キレイな歯のまま大人になる「予防医療」を実現するため「定期的な検診」を院長が大事にしていますので、一役買えたらなと。
もしかしたら、お子さんは歯医者さんに「治療/メンテナンスに来ている」というよりは「遊びに来ている」と思っている?
そうかもしれませんね、実際お子さんは楽しんで来ています。
「新しいおもちゃが入荷した」というのをインスタグラムを見て来る方もいます。
院長も、私が「おもちゃコンサルタント」の資格を持っていることを理解してくださって、良いおもちゃを買い揃えてくださいます。
シンプルですけど、お子さんが主体的に遊べるおもちゃがたくさんあります。
親御さんもどういうおもちゃがいいか?が、分からないと思うんです。
嬉しいエピソードとしては、「1歳の誕生日におすすめしてもらったおもちゃを買った」とか、「これくらいの年齢は、どんなおもちゃがいいですか?」と聞いてくれおススメしたものを買ってくださったり・・・。
意外とおもちゃはいっぱいあって、コマーシャルで流れているものがいいとは限らないんです。
どんなおもちゃが「良いおもちゃ」なのですか?
お子さんが主体的・能動的に関われるおもちゃが、良いおもちゃですね。
木のおもちゃだとカンカンとやっても耳が痛くない、大人も一緒に遊んで楽しいおもちゃで目にも美しいもの・・・音もいいですよね。
このおもちゃは、お子さんが追視できるようなスピードで落ちていきます、本当に奥が深いです。
そんなことまで考えておもちゃは作られているんですね!
私もインスタで音がシャラシャラするおもちゃがあると、チェックしてから来ました。(笑)
こちらが「ミニレインボーメーカー」です。
雨の音とか波の音に近いので、抱っこしてこれをやると軒並み寝てくれて「催眠棒」といっています。(笑)
20年前に欲しかった!(笑)
買うキッカケがネットの評判じゃなくて、リアルに目の前にいる人から聞いた話だと、圧倒的な信頼感です。
ネットの情報は玉石混交で「本当かな?」と思うところがありますよね。
ちなみに、これいくらですか?
1000円くらいですね。
3か月のお子さんを持つお母さん、買われていました。
このおままごとも、切った時の感触も大事でザクっと音がする、五感を刺激するおもちゃです。
この「トンッ」という音がいいですね!
五感をフル稼働させて、聴覚を刺激するのも大事です。
いいですよね、柔らかくてあったかくて・・・木は人肌に近いという話を聞いて・・・なめらかで安らぐんですよね。
木製だからか穏やかに遊ぶというか。
分かります、お子さんも「大事なものだから、粗末にしちゃいけない」と思うんでしょうね。
分かります?嬉しいです!お子さんは全身が感覚器なんです!
院長先生もお子さんを一人の人として見ていて、子どもだからこそ本物が分かる、ごまかしがきかないと思っています。
美しくてすごく印象的なおもちゃとして、これがあるんですが。
アーチレインボーですね。
遊び方が無限大で、お子さんによってはトンネルにしてボーリングしたり、池に見立ててカメさんを泳がせたりして、お子さんの頭の柔らかさにはかなわないなと思います。
2「出来たね、これはいいね」という人がいると、お子さんが満足するんです
お子さんは集中して遊ぶんですけど、作っていたものが出来て「これはいいな」と思うと振り返るんです。
その時に人的環境として「出来たね、これはいいね」という人がいるとお子さんが満足するんです。
確かに野球で子どもがバッティングした後、こっち見るんです・・・。
大人が「見てるよ」という喜びに共感してもらえた子が、のちに悲しみに共感できるお子さんになるんです、喜びが先なんです。
おもちゃがコミュニケーションツールになって、喜びに共感する人的環境があって、のちのちお子さんの「心の栄養」になってくれたらと。
短い時間なんですけれど、その子がいい人生送れたらと・・・ちょっと大げさですかね。(アタフタ)
「喜びに共感してもらうことで、人の悲しみに共感できる」は、結構刺ささりました。
お子さんと過ごす時間って、大人にとっては忍耐力も必要だと思うんですけど、それは意味のあることです。
「人的環境」が一番で、「心は掛けているよ」ということが伝わることが大事なんですね。
口は出さなくても目や心は掛けている・・・お子さんが話したことについて共感してあげることは、ずっと続けた方が良いことだと思います。
少年野球で「パーン」と打った時に、後ろを見て僕を探すんですよ。
お父さんからしたらアドバイスをしたいところなんですけど、アドバイスって実はいらなくて・・・。
お子さんは共感してあげれば、自分で伸びる力があります。
男同士はタテ社会なので「伸ばしてあげたい」と思いますよね。
お父さんは経験値があって答えを知っていらっしゃるから、ぐっと我慢して言わないことの方が苦しいんです。
「アドバイス」って、赤ちゃんの時から「攻撃」なんです。
小さいうちは受け止められても、思春期になったらお子さん自身も育ってきているので攻撃は受け止められないんです。
「分かっていることを教えてあげたい」と年上のママさんやお姑さんや実母さんは思います、一方それで傷つくお母さんもいます。
育児って仕方のないことの連続、調べて正解が分っていてもうまくいかないことの連続じゃないですか。
自分が独身の時、保育園に勤めているといろいろなお子さん見ているし「あ、お母さんこうしたらいいのに」と思うことはあったんです。
母親になってからは「いやいや、そうは言っても出来ないんですよね」と言えるようになったのはよかったなと実感しています。
思い通りにいかないのが子育てで、なんなら待つのが子育てかな、と。
待つのは本当に苦しいんですよ。
思春期になったら、見守るといいんですね。
何も言わなくても、じっと待ってくれる親御さんほど尊敬されるみたいです。
本当に困って助けを求めてきた時に、お父さんの考えを仰っていただけたら「尊敬♡」ってまなざしになります。
「君はどう思う?」と質問してもいいかもしれないですね、「お父さんはこう思う」と対等で話し合う。
最近本当に思うのは、赤ちゃんも言葉が分からない訳じゃないので、治療に行くときは「ママ、行ってくるね」とお話ししてから行ってほしいな、と。
どんな年齢のお子さんもそうですが、一人の人として接してあげると信頼関係を気付きやすいんです。
先生や保育士などの肩書を一旦脇に置いて、一人の人として向き合うと本当にうまくいくんですね。
人生の極意みたいになってきましたね。(笑)
お子さんが自分で立つ力を信じて・・・ここまで一生懸命お育てになったのですからもう間違いないです。
院長先生も私たちを部下としてではなく、一人の人として尊重してくださいます。
恩返ししたくなっちゃうというか、泳がせていただいています。(笑)
発想を信じてくださるからこんなに自由にやらせていただいて、キッズ診療室やキッズスペースの装飾も盛らせていただいちゃっているんですけど。(笑)
小田さん、お話お上手ですよね!
人が喜ぶ顔を見るのって、楽しいじゃないですか?
共感力が強すぎるのもどうかな?と思うんですけど。(笑)
支援センターにいた時にしょっちゅうイベントがあって、前に立ってふれあい遊びとかお教えしていたので、話すことに慣れたのかもしれません。
子育て支援センター、お父さんも結構来るのですか?
すごくいらっしゃいます、お父さんとお子さんだけで。
お父さん、誰としゃべるんですか?
性差があると思うんですけど、ママ同志はすぐに横でお話しされるけど、パパ同志ってなかなか・・・なので支援員が間に入ってパパさんの得意なスポーツは?とか話すキッカケを作ることもありました。
当院のおもちゃご紹介
大きなお子さん向けのおもちゃもあるそうですが
はい、これはハンドスピナーのドイツ版です。手先に集中すると脳が休まるらしく、メンタルの治療に使われることもあるそうです。
3本の指を使うというのは、屈伸と同じくらいの脳への血液量らしいんですよ。
3本の指に集中して遊ぶというのは大切なことで・・・駒など昔ながらの遊びは、よくできているんです。
これはトトロが空を飛ぶときの駒で、うまく回るとブーンって音がします。
昔ながらの駒です、よくできていますよね~。(ブーンと音がしていました!)
これ(上の写真)は、けん玉が得意でない子でもできるけん玉・・・ジャグリングの球で操作しやすいんですね。
出来たという達成感を繰り返すことで、自己効力感(じここうりょくかん)を膨らますと「自分はできるんじゃないか?」という自信になります。
これ(下の写真)は、シャラシャラリングというんです。
これキレイですね!
良いおもちゃはキレイなんです。
保護者の方も、やらせてくださいという方がいます。
診療に入る前は、お子さんが緊張しないように親御さんも一緒に遊んで楽しんでください。
これは・・・先生が最近買ってくれたフランスのおもちゃで、ピクスといいます。
どこでこういう情報を仕入れるんですか?
「東京おもちゃ美術館」ってあるんですけど、そちらで「グッドトイ」というのを選定しているんです。
おもちゃの本屋大賞みたいな?
そうです!おもちゃで何を買おうか迷ったときは、「グッドトイ」で調べてみると間違いないです。
3歳までは、おもちゃはお子さんが選ぶのではなくて親御さんが「主食」となるおいしいおもちゃを選んであげてほしい・・・おもちゃはお子さんの栄養源、遊びは心の栄養です。
おもちゃオタクなんです・・・
休みの日は?
おもちゃのヘンタイ・・・オタクなので(笑)、おもちゃ探しです。
あと読書が大好きで、月に10冊以上は読むため図書館をよく利用します。
さいたま市の図書館は30冊まで予約できるんです。
ヘンタイなので借り過ぎちゃって、予約棚の所に「小田」って欄があるんです、公共の施設をこんな風にしちゃいけないなと思うんですけど。(笑)
お子さんの育ちに関する本、養老孟司さんの世の中を俯瞰して物事の本質をとらえている本とかが好きです。
佐々木正美先生の「子どもへのまなざし」という本があるんですけど、私の保育士・人間としてのバイブルで、子どもの育ちをいかに大人が邪魔しないであげるかという本です。
親も勉強ですよね、ぜひオアシス文庫に置いてください!
こんなに情報がある時代なのに、本当に必要な情報には飢えていると思います。
母親になって思ったのは、ネットに情報はいくらでもあるんですけど、知っている人や信頼する人からの情報が欲しいですよね。
ですよね!では最後に、メッセージお願いします。
おもちゃはコミュニケーションツールなので、お子さんと仲良くなれるんですね。
歯医者さんが楽しい場所になって、お子さんの歯がキレイなまま大人になってもらえれば一番嬉しいので、ぜひ楽しく通ってください。
「子どもがギャン泣きしていても大丈夫?」「何歳から預かってくれるの?」
そんなQ&Aはコチラ
取材後記
インタビュー中「そうなんです、そうなんです」と小田さんが大きくリアクションしていると共感してもらうだけで、安心感と自己効力感(じここうりょくかん:「きっとうまくいく」と思える心の状態)がありました。
また、インタビュアー/カメラマンとも大学生と高校生の親でしたが、子どもが小さい頃に聞きたかったと思う話ばかりで打ちひしがれていました。(笑)
自分が子育てしていた20年前にこんな歯医者さんがあったらよかったのに、としみじみ思いました。
そして「おもちゃオタク」は初めて見ました。(笑)
どうぞさいたま市のパパママキッズのために、末永く小田さんよろしくお願いします!
インタビュー:2023/6/1